問題
Windows 環境でペンタブレットを接続した状態で、Cinema 4D と他のウィンドウ(エクスプローラー、Web ブラウザ、その他のアプリケーションなど)を切り替えると、Cinema 4D がクラッシュまたはフリーズすることがあります。
また、別のアプリケーションを使用した後に Cinema 4D のビューポートをクリックした際に、同様の問題が発生する場合もあります。
この現象は通常、Cinema 4D 自体の不具合ではなく、Windows がペンタブレット入力を処理する 2 つの方式の競合によって発生します。
- WinTab API(従来方式)
- Windows Ink API(新方式)
ウィンドウのフォーカスを頻繁に切り替えることで両者が競合し、Cinema 4D がクラッシュする場合があります。
この問題は特定メーカーに限定されるものではなく、以下を含む多くのペンタブレット製品で発生する可能性があります。
- Wacom
- Huion
- XP-Pen
- Gaomon
- Veikk
- Xencelabs
- その他のメーカー
そのため、本記事で紹介する対処方法はほとんどのペンタブレット環境で有効です。
解決方法
多くの場合、ペンタブレットドライバの「Windows Ink」を無効にすることで問題を解消できます。
それでも改善しない場合は、以下の順にお試しください。
- ペンタブレットドライバを最新版へ更新する
- 過去にインストールした他社製タブレットドライバを削除する
- wintab32.dll を一時的にリネームして原因を切り分ける
手順 1:Windows Ink を無効にする
現在のペンタブレットドライバの多くには Windows Ink のオン/オフ設定があります。
Windows Ink を無効にすると、ペンタブレットは WinTab のみを使用するようになり、多くのケースで問題が解消します。
設定項目の場所はメーカーやドライバのバージョンによって異なります。
Wacom
新しいドライバでは「Wacom Center」、旧バージョンでは「Wacom Tablet Properties」を使用します。
ご利用の環境に応じて設定してください。
Wacom Center(現行ドライバ)
- Windows のスタートメニューから「Wacom Center」を起動します。
- デバイス一覧から使用しているペンを選択します。
- 右側の「Advanced」メニューを開きます。
- 「Windows Ink」をオフにします。
- Cinema 4D を再起動し、問題が再現するか確認してください。
Wacom Tablet Properties(旧ドライバ)
- Windows のスタートメニューから「Wacom Tablet Properties」を起動します。
- 上部の「Pen」タブを選択します。
- 「Mapping」ボタンをクリックします。
※ Cintiq シリーズの場合は「Calibrate」タブ内にあります。
- 「Use Windows Ink」のチェックを外します。
- 「OK」をクリックして設定を保存します。
- Cinema 4D を再起動し、問題が改善したか確認してください。
ペンタブレットと液晶タブレットなど複数の Wacom デバイスを使用している場合は、それぞれのデバイスに対して同じ設定を行ってください。
Huion
- スタートメニューから HuionTablet を起動します。
- 「Pen Settings」または「Tablet Settings」を開きます。
- 「Enable Windows Ink」のチェックを外します。
- 設定を適用します。
- PC を再起動します。
- Cinema 4D を起動して動作を確認してください。
XP-Pen
- Pentablet ドライバを起動します。
- 「Pen Settings」を開きます。
- 「Windows Ink」のチェックを外します。
- 設定を保存します。
- Cinema 4D を再起動して確認してください。
Xencelabs
- スタートメニューから Xencelabs Pen Tablet を起動します。
- またはタブレットのショートカットボタンから設定ツールを開きます。
- Xencelabs Setting Tool 内の「Windows Ink」を探します。
- チェックを外して無効化します。
Cinema 4D のみで無効にしたい場合は、
- アプリケーション一覧へ Cinema 4D を追加
- Cinema 4D 用設定でのみ Windows Ink を無効化
という設定も可能です。
- 設定を保存します。
- Cinema 4D を再起動して確認してください。
その他のメーカー
Gaomon、Veikk、Ugee などをご利用の場合は、付属のドライバ設定ツールを開き、以下のような名称の設定を探してください。
- Windows Ink
- Use Windows Ink
- Enable Windows Ink
- Support TabletPC
該当項目を無効化した後、Cinema 4D を再起動してください。
設定項目が見つからない場合は、各メーカーのサポートページでご利用中のドライババージョンに対応した手順をご確認ください。
手順 2:ペンタブレットドライバを更新する
ペンタブレットドライバのアップデートには、WinTab と Windows Ink 間の互換性問題を修正する内容が含まれていることがあります。
古いドライバをご利用の場合は、最新版への更新をおすすめします。
手順:
- メーカー公式サイトへアクセスします。
- ご利用のモデル向け最新 Windows ドライバをダウンロードします。
- 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」を開きます。
- 現在のドライバをアンインストールします。
- PC を再起動します。
- 最新ドライバをインストールします。
- 再度 PC を再起動します。
- 手順 1 の Windows Ink 設定を再確認してください。
ヒント:
ドライバは必ずメーカー公式サイトから入手してください。
Windows Update 経由や第三者サイトから提供されるドライバは古い場合があり、必要な修正が含まれていないことがあります。
手順 3:過去のタブレットドライバを削除する
過去に複数メーカーのペンタブレットを使用したことがある場合、古いドライバの WinTab コンポーネントがシステム内に残っていることがあります。
その結果、現在使用しているタブレットとは異なる WinTab 実装が読み込まれ、Cinema 4D の不安定化やクラッシュを引き起こす場合があります。
これはドライバを再インストールしても改善しないケースでよく見られる原因の一つです。
手順:
- 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」を開きます。
- 現在使用しているメーカー以外のタブレットドライバを探します。
例:
- Wacom
- Huion
- XP-Pen
- Gaomon
- Veikk
- Xencelabs
- 不要なドライバをアンインストールします。
- PC を再起動します。
- 現在使用中のタブレットドライバを再インストールします。
これにより、正しい WinTab コンポーネントが使用されるようになります。
手順 4:wintab32.dll をリネームして原因を切り分ける
問題が解決しない場合は、WinTab DLL が関係しているかどうかを確認するため、一時的にファイル名を変更してテストできます。
これは原因調査のための手順であり、恒久的な対処方法ではありません。
重要
このファイルをリネームすると、WinTab を利用するアプリケーションでは筆圧機能が利用できなくなります。
そのため、短時間の検証目的でのみ実施してください。
テスト終了後は必ず元の名前に戻してください。
手順:
- Cinema 4D およびペンタブレットを利用するアプリケーションをすべて終了します。
- エクスプローラーを開きます。
- 以下のフォルダへ移動します。
C:\Windows\System32
- 「wintab32.dll」を探します。
- ファイル名を以下へ変更します。
wintab32_.dll
- 管理者権限を求められた場合は許可します。
- Cinema 4D を起動します。
- 通常どおりウィンドウ切り替えを行い、問題が再現するか確認します。
もしクラッシュが発生しなくなった場合、WinTab DLL が原因に関与している可能性があります。
この場合は、古いドライバや競合する WinTab コンポーネントが残っていることが考えられるため、手順 3 を実施したうえで現在のドライバを再インストールしてください。
テスト終了後は、
wintab32_.dll
を
wintab32.dll
へ戻して、通常のタブレット機能を復元してください。
それでもクラッシュする場合
上記すべてを試しても問題が解決しない場合は、Cinema 4D のクラッシュレポートをお送りください。
手順:
- Cinema 4D で
「編集」→「環境設定」
を開きます。
- ウィンドウ下部の
「Open Preferences Folder」
をクリックします。
- 開いたフォルダ内の
_BugReports
フォルダを探します。
- _BugReports フォルダ全体を ZIP 圧縮します。
- サポートチケットへ添付してお送りください。
このフォルダ内のクラッシュダンプは、原因調査に必要な重要な情報となります。
関連記事
システム情報と Cinema 4D のログをまとめて収集する方法については、以下の記事をご参照ください。
「Maxon Support Tool を使用して Cinema 4D のログを収集する方法」
まとめ(TL;DR)
原因:
Windows 環境における WinTab と Windows Ink の競合です。特に Cinema 4D と他のアプリケーションを頻繁に切り替える際に発生しやすく、メーカーを問わず多くのペンタブレットで起こり得ます。
最初に試すべき対処法:
ペンタブレットドライバの Windows Ink を無効にする。
改善しない場合:
- ドライバを最新版へ更新する
- 古いタブレットドライバを削除する
- wintab32.dll をリネームして原因を切り分ける
それでも解決しない場合:
Cinema 4D の Preferences フォルダ内にある _BugReports フォルダをサポートチケットへ添付してください。
サポートチームが詳しく調査いたします。
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